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NHK出版新書から出ている「踊る昭和歌謡~リズムからみる大衆音楽」(輪島裕介)
という本、めちゃ面白いです!

著者は、ブラジル音楽を演奏していた経験のある学者さんで、
日本の「大衆音楽」の歴史を、踊れるリズム、という切り口で解説しています。
この「踊る」っていうのは、当たり前すぎて、
でもミュージシャンやっているといつのまにか忘れてしまうポイントでもあります。

踊らん哉1

で、ちょっと話は長くなるのですが、
もう10年以上前のことになりますが、
ダンスを習いにいっていたことがあります。

そのころ参加していた「黒船レディと銀星楽団」のお客様で来ていた男の子たちが
「今度渋谷でスイングダンスのイベントをやるんですよ~」って言っていたので、
「え、こんな若いコがスイングダンス???社交ダンスじゃなくて???」
と興味半分のぞきに行ったら、

踊らん哉2

渋谷のクラブのフロアに大音量でかかるスイング、ジャイブ、ロカビリー、
ジャズに限らず、ハネ系のfinger boppinな音楽全般に合わせ、
20代の子たちがカップルで踊る踊る。
リズムに合わせて、くっついたり離れたり、くるくるまわったり、
横に並んで二人三脚みたいに足をふりふりしたり、
グレンミラーはもちろん、
パーカーの「Now the time」まで踊り倒し(ベースソロではさすがにフェイドアウトしてたけど)
ている様を見て、
私の脳内でびかっと花火があがったのです。

そのときの自分は、ピアノにかじりついて、
「弾いても弾いてもうまくなんないな~」とか
「ジャズやるんだったら、いつかはアウトしないとな」とか、
「ポリリズムも勉強しないとな」とか、カリカリしていた時期だったのですが、
「あ。。。私が最初にジャズってイイなと思ったのって、コレだったんだ」と再発見したのでした。

で、そのとき踊りに来ていた、主催者の男の子たちの師匠という方が開いている
「Lindy Hop」のダンス教室にでかけ、入門したのですが、
月に1回か2回しか行けないんじゃ習得できるはずもなく、
しかもカップルで踊るダンスだったので、パートナーがいないと練習もままならず、
と、いうか、そんなに運動神経がいいわけでもないし、
とかやっているうちに、仕事が忙しくなってうやむやになってしまいました。

でも、レッスン中、「このステップをやってみましょう」といって、
ベイシーやピーターソンに合わせてステップを踏むのは、心底楽しかったし、
しばらくはその感じを思い出しながらピアノを弾いたりしてました。
1週間もすると忘れちゃうんですけどね。

で、自分が踊っている姿は案山子のようなので人にはお見せしたくないですが、
最初に「これって素敵~」ってスパークした、あの時の花火はホンモノで、
私は「音が躍っている音楽」が好きだ、ということを再認識させられたのではないかと思います。
うまく言えないんですけどね。

踊らん哉3

「踊る」ということの楽しさが、音楽業界を盛り上げてきた大きな火種で、
それはいつのまにか「カラオケボックスで自ら歌う」「クラブでDJセレクトの音源で踊る」
「生演奏は座って聴くもの」というように世の中変わってしまったわけですが、
実際自分でその楽しさを体験してみたら、
いろんなものを聴く耳が変わりました。
私自身は、映画とラジオで音楽にはまったので、
「踊る」という視点はかなり新鮮でした。
いえ、正確にいうと、スクリーンのフレッド・アステアに魅かれて、「ジャズ」ってイイなと思っても、
「ジャズ」全般が「そうである」わけではなく、
その音楽のどのポイントが自分を引き付けたのかということ、
について自覚がなかったなと。
踊るのがオレの青春だった、みたいなカッコイイkidsには逆に理解しにくいでしょうが。。。

自分にとって大事なのは「踊らせるほどの躍る音」。
今では、指に踊ってもらって「躍る」音を目指しているわけです。
(かといって、バリバリダンサブルな音楽をやるんでもないんですけど)

長かった。
本の話に戻ります。
文中の楽曲をyoutubeで聞きながら読んだら、
今まで出会ったベテランミュージシャンから聞いた、バンド華やかなりし頃のこととか、
ライブ中に突然踊りだした年配のお客様の「ハマジル」(「横浜ジルバ」のことだそうです)がなんだかカッコよかったこととか、
さらには、
歌伴でチャチャのイントロを出したら、ドラマーのおじさんから「そのイントロじゃ踊れねえ」と叱られたこととか、
セッションで「Blue bossa」をやると、「これは『ボサノバ』じゃない!」とブラジル音楽好きが不機嫌になるとか、
オバQのキャラクターに「ドドンパ」みたいな名前のヤツがいたなとか、
とにかく、いろんな経験が湧き出して、いま脳内盆踊り中。

私の個人的な感想も混ぜて綴ってしまったので、
本の内容がわかりにくかったかもしれませんが、
ぜひ!音楽好きな方は、読んでみてください。
同じ著者の前著、「創られた『日本の心』神話~『演歌』をめぐる戦後大衆音楽史」(光文社新書)
も、ただいま読み進み中ですが、同じく、オススメです。




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廣田ゆり(ひろたゆり/ピアニスト・作曲)
  • Author: 廣田ゆり(ひろたゆり/ピアニスト・作曲)
  • 東京都中野生まれ。かに座AB型

    廣田ゆり(ひろたゆり/ピアニスト・作曲)プロフィール

    ジャズピアニストとして都内ライブハウスに出演しつつも、スウィンギー&スウィートな音楽性で、ノスタルジックポップスバンド「黒船レディと銀星楽団」、エキゾな「モスランズ」、ビッグバンド「Gentle Forest Jazz Band」のCD、ライブに参加するなど、
    ユニークな活動を続けている。

    「古本屋のワルツ」に代表される、古い映画音楽のような、ロマンチックなメロディメイキングのセンスに高い評価がある。

      現在はバイオリンとコンガを主軸としたライブシリーズ「超素敵音楽会〜月夜の散歩」が好評。

    リーダーCDに「ザ・ローリング・リリ~リリー婦人の7分半ピアノロール」(2009)、「ノミのサーカス」(2015年8月)など。

    大事にしていること。明日はどうなるかわからないからこそ、音楽によって、その場の空気を多数の人とわかちあえる瞬間。

    趣味。月夜の散歩。古い洋館めぐり。お茶を飲むこと。本を読むこと。絵を見ること。昼間のビール、夜更けのワイン。

    レッスンもいたします♪
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