ピアニスト廣田ゆりの部屋

ジャズピアニスト廣田ゆりのサイト。

 映画を見ていて、本筋とは関係ないのにとても気になること。
 それは、ピアノが出てくる場面です。

 いろいろ気になる映画はあるのですが、今日気になったのは、ヒッチコックの「裏窓」。
 主人公の家の向かいにどうも妻殺しの殺人者が住んでいるらしい、というサスペンスなのですが、同じアパートの並びの窓に、本筋とはまるで関係ないのですが、ジャズピアニストが住んでいるのです。

 映画では足を怪我して車椅子生活の主人公が、向かいのアパートの住人を窓からのぞき見して事件を解決するという設定なので、このピアニストの生活も逐次えがかれているのですが。

 いいなあ。

 窓一面ガラス張りのテラス状の部屋にグランドピアノ。たまに友人を招いて大ホームパーティをし、「モナリザ」を大合唱(当然夜)。またある日は仲間ミュージシャン(管楽器入り!)を呼んでリハーサル。そしてまたある日は妙齢の女性とふたりきりで「キミのために曲をつくったんだ....」

 いいなあ....。

 常々思うのはアメリカの楽器&住宅問題、騒音問題はどうなっているのかということです。

 日本で「賃貸住宅情報」などにのっている「ピアノ可」物件は「ピアノを持ち込めるぐらい丈夫なお部屋です」という意味で、けして朝から晩まで弾いていいということではなく、ましてやホームパーティやほかの楽器とのリハーサルに自由につかっていいということではなく(声楽、金管は特に厳しい)、ひどい時には、「規定時間内でもあまり弾くとご近所から苦情がくるかもしれません」という、住んでみないとわからない、非常にリスキーな物件であることもままあるようです。
 事実、不動産屋さんからは、「大家さんに聞かれたら、『ピアノは趣味程度です♪』と答えてくださいね」とか言われたこともありました。

 かといって完全防音の部屋の家賃を払えるほどの収入はなく...(涙)。

 この難題を乗り越えるべく、私は、音大近くの、楽器プレーヤーが多数住んでいる物件を選びました。しかも窓の下には某私鉄の線路がはしっているし、向かいにはパチンコ屋があるという、騒音てゆうならピアノなんか全然メじゃない!という場所です。

 しかし、障害はまだあり、部屋が5Fなので、そしてエレベータがやや小ぶりだったため、私のグランドピアノはクレーンを使わないと部屋にいれることができないのでした。
 やったことがある人ならご存知だと思いますが、ピアノの引っ越しには、移動料金+クレーン使用料+(フロア手数料×階数)がかかります。「フロア手数料」、という言い方は私が勝手に発明しましたが、つまり、1階フロアがあがる度に手数料が加算されるシステムです。
 で、私の場合はこの総額が、1カ月分の家賃に相当しました。
 今の部屋に引っ越してきたときはせっぱつまった状況だったので、やりくりしてなんとか払いましたが、次は....と思うと簡単には引っ越しできない今日この頃です。

なのに、アメリカ映画ときたら。
売れないミュージシャンという設定のはずなのに部屋にグランドピアノおいてるは(「恋のゆくえ」のジェフ・ブリッジス)、
引退後の老夫婦がマンハッタンのコンドミニアムで、ピアニスト(陽気なストライドスタイル)を呼んで大ホームパーティ(当然夜)をひらくは(ウディ・アレン「ハンナとその姉妹」)...

ああッ。引っ越し代はどうやってひねり出したのか?ご近所対策はどうなっているのか?
映画の筋よりソッチのほうが気になるだ。


 まあ、これらは映画だから、こういう細部も多少「夢物語」なのかもしれませんよね。
 と思ってたら、その現実性を裏付ける文献(?)も見つけてしまいました。

 村上春樹さんが訳を担当している「さよならバードランド」「ジャズアネクドーツ」(ビルクロウ著・新潮文庫)という2冊を読むと、ジャズの黄金時代のミュージシャンの日常として、「誰それが新しいアレンジメントを書いてうちにやってきたのでさっそく音をだしてみた」「ホームパーティで大セッションが始まり」的な話が山ほど出てきます。

 この2冊は「回顧録」だから、書いてあるエピソードはすべて事実のはず。
 ということは、当時のアメリカの音出し住宅事情はきっと、現在の日本より全然よかったんでしょうねえ。
 てことは、「裏窓」ピアニストの生活もまんざら大ウソではないということなのかも。。
うらやましいことです。

 まあ、入れ物のことをうらやましがってもしょうがないから、ほかのところを真似してみましょう。
 というわけで、
 「新しい曲、新しいアレンジメント」を書いて、試しに仲間のミュージシャンに集まってもらって、音をだしてみています。ジェリー・マリガンみたいにはいかないけど、3回ライブをやったらなにかが始まったような(リハは貸しスタジオでやっていますが)。



最後は結局また宣伝ですが、

今月8月17日(火)に二子玉川ライラにてオリジナル曲を中心に演奏するピアノトリオを、

そして、

10月30日(土)に、ベーシスト佐藤有介氏が主催するイベント「うたげの日」(@千歳烏山TUBO)に
今年始めた2管ユニットMalt Orientalにて出演します。

電車とスロットの音にも負けず、
AM10時ジャストに始まる近所のメタルに~ちゃんの発声練習にも負けず、
宗教・新聞、電話会社の回線勧誘にも負けず
コツコツ描いた成果をぜひともご覧下さいませ。



 


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コメント

パーティーには監督も来てましたね。

  • 2010/08/08(日) 07:46:37 |
  • URL |
  • サスケハナ #-
  • [編集]

えっっ。そうだったの???

  • 2010/08/08(日) 13:29:30 |
  • URL |
  • ヒロタ #-
  • [編集]

時計のネジ巻いてるのが監督です。

  • 2010/08/08(日) 23:57:36 |
  • URL |
  • #-
  • [編集]

見直してみます~♪

  • 2010/08/09(月) 11:05:22 |
  • URL |
  • ヒロタ #-
  • [編集]
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廣田ゆり(ひろたゆり/ピアニスト・作曲)
  • Author: 廣田ゆり(ひろたゆり/ピアニスト・作曲)
  • 東京都中野生まれ。かに座AB型

    廣田ゆり(ひろたゆり/ピアニスト・作曲)プロフィール

    ジャズピアニストとして都内ライブハウスに出演しつつも、スウィンギー&スウィートな音楽性で、ノスタルジックポップスバンド「黒船レディと銀星楽団」、エキゾな「モスランズ」、ビッグバンド「Gentle Forest Jazz Band」のCD、ライブに参加するなど、
    ユニークな活動を続けている。

    「古本屋のワルツ」に代表される、古い映画音楽のような、ロマンチックなメロディメイキングのセンスに高い評価がある。

      現在はバイオリンとコンガを主軸としたライブシリーズ「超素敵音楽会〜月夜の散歩」が好評。

    リーダーCDに「ザ・ローリング・リリ~リリー婦人の7分半ピアノロール」(2009)、「ノミのサーカス」(2015年8月)など。

    大事にしていること。明日はどうなるかわからないからこそ、音楽によって、その場の空気を多数の人とわかちあえる瞬間。

    趣味。月夜の散歩。古い洋館めぐり。お茶を飲むこと。本を読むこと。絵を見ること。昼間のビール、夜更けのワイン。

    レッスンもいたします♪
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