しかしさすがはウディ・アレン、評論家のナット・ヘントフとかが実名ででてくるし、インタビューで語られる逸話も細部までリアルで、ジャンゴ・ラインハルトの話とかがでてくるので、知らない人は、うっかり実在しない「エメット・レイ」のCDを買いに走ってしまう、という手のこんだイタズラなのでした。
まだ見てなかった方、もう数年前の映画だし、ネタバレをお許しください。
これを見た直後、「テルミン」という映画を見たのですが、「今回はだまされないわ!」思って意気込んでたら、これは、正真正銘、ホンモノのドキュメンタリーでした。テルミンという面妖で魅力的な楽器を開発したテルミン博士の物語なのですが、テルミン博士があまりに印象的な風貌なのと、演奏場面がなんていうか「目が離せない」映像だったので、絶対作り物だと思ったのです。ベタな感想ですが、事実は小説よりナントカ、というやつです。
私はこの手のホラ話が好きです。
ホラ、というなら、SFとかファンタジーとかがいいのかといえば、そうではなく、ホントっぽいお話なんだけど、前提に大嘘が紛れ込んでいて、「ね、これって実は嘘なんでしょ〜?」とかって言いながら、うっかり聞き入っているうちに、気持ちよくだまされてしまうのが、私にとってのホラ話です。
小説でいったら、ガルシア・マルケス「百年の孤独」とかジョン・アービング「ガープの世界」とか、あと、「バベットの晩餐会」なんていうのもかなり気に入りです。
最近出逢った小説家でいちばんのホラ上手だと思うのは、ポール・オースターという人です。代表作の「ムーン・パレス」もよかったのですが、私の好きなのは、「幽霊たち」という探偵物語の中にでてくるブルックリン・ブリッジのエピソードです。この作家に出会って割と最初の段階で読んだのですが、すっかり本気にして、事実関係をネットで調べたりしてしまいました。なんだか飲み屋で隣り合ったおじさんから「親戚の話なんだけどね」とかいって壮大なホラ話を聞かされたみたいな感じ。
しかし、この手の小説を読んでいると、特に「百年の孤独」なんて読んでいると、浮世のことは全部「壮大なホラ話」でできているような気がしますね。....話が大きくなりすぎかなあ。

